2019.02.10
認知症の義父と長男の嫁日記 その3
一瞬の記憶
入院中の義母が急変し亡くなった。
義父は、無言の帰宅をした妻を見ても
「今日も具合悪いのか・・・?」と聞く。
今、親戚が集まり、お寺様に枕経をあげて頂いていることを見ても理解できない。
通夜も、告別式の中でも、遺影の妻を解らず「親戚のおばあさん死んだのか?」と聞く。
妻の棺に花を入れていても、皆がやることを一緒にやっているだけのような表情・・・。
そして、もう、本当に最後の別れ、火葬場で棺の中の妻と対面した義父。
「おお・・・、おお・・・・」
と、力なく声を発し、涙して、合掌した・・・。
しかし、火葬場から出る時には、その記憶は消えていて、配られた和菓子を美味しそうに食べる。
記憶には残らなくても、あの時、あの一瞬は、夫婦であった時間を思い出していたのではないか。
その一瞬の義父の姿を、私達家族は忘れないでしょう。
この先、認知症が進行しても、義父のあの時の涙を、私は夫婦の絆として伝えていきますね。